不安

親の終活、家族はどこから手伝えばいい?

親御さんが年を重ねてきて、「そろそろ、いろいろ整理しておいてほしい」。。。そう思うことはないでしょうか。

けれど、いざ口に出そうとすると止まってしまう。「縁起でもない」と怒らせてしまうかもしれない。財産の話をすれば、お金目当てだと思われるかもしれない。そうして切り出せないまま、介護が始まり、「本人に聞いておけばよかった」ことばかりが残る。珍しいお話ではありません。そのためらいは、大将にもよく分かります。

この記事では、終活とは何を整理することなのか、まず全体像をお示しします。そのうえで、親御さんへの切り出し方、手をつける順番、松山市で使える窓口を整理します。急かすための記事ではありません。

なお、大将は介護事業者であり、法律の専門職ではありません。遺言・相続・成年後見といった法律の判断が関わる部分は、弁護士・司法書士・行政書士、または市の窓口や社会福祉協議会にご相談ください。 この記事は、そこにたどり着くまでの地図とお考えください。

終活は「死ぬ準備」ではなく、残される側のための整理

終活と聞くと、身辺整理や葬儀の手配。そんな絵が浮かぶ方が多いかもしれません。ただ、実際に困るのは、多くの場合ご本人ではなく残されたご家族のほうです。

通帳がどこにあるか分からない。加入している保険が分からない。誰に連絡すればいいのか分からない。スマートフォンのロックが解除できない。こうしたことが、悲しみのただ中にある家族にのしかかります。

つまり終活とは、死に向き合う作業というより、自分が話せなくなったあと家族が迷わずに済むよう、情報と希望を置いていく作業です。この捉え直しが大事だと、大将は思うんです。親御さんに切り出すときにも効いてきます。

そしてもう一つ。整理が必要になるのは亡くなったあとだけではありません。認知症などで判断が難しくなった時点で、預金の引き出しや契約の手続きは本人以外にはできなくなる場面があります。 元気なうちにしかできないことがある、というのが終活の実務的な理由です。

何を整理するのか — 6つの領域で見る全体像

漠然と「終活」と考えると、手が止まります。だから、仕分ける。領域に分けてみると、どこが手つかずかが見えてきます。

領域 整理しておくこと 主な相談先
① お金・資産 預貯金の口座、保険、年金、借入、不動産 金融機関、弁護士・司法書士・行政書士、税理士
② 住まい 今後どこで暮らしたいか、家をどうするか ケアマネジャー、地域包括支援センター
③ 医療とケアの希望 延命治療の考え方、受けたい/受けたくないケア かかりつけ医、ケアマネジャー
④ 人間関係 連絡してほしい人、菩提寺、付き合いのある方 ご本人にしか分かりません
⑤ デジタル スマホやパソコン、ネット口座、サブスク契約 ご家族での共有が中心
⑥ 葬儀・お墓 希望する形式、墓の所在、承継者 葬儀社、菩提寺、市の窓口

このうち④は、ご本人以外には分からない領域です。住所録が残っていても、「誰に知らせてほしいか」までは書かれていません。ここは早めにうかがっておく価値が大きいところだと思います。

⑤のデジタルは、近年いちばん困りごとが増えている領域です。ここは話が長くなるので、スマホ・ネット口座 — デジタル遺品への備えに別で書いています。

それと、亡くなったあとに実際どんな手続きが発生するのか。ここが見えていると、どこを急ぐべきかの判断がしやすくなります。手続きの全体像は亡くなったあとの手続き — 誰が何をするのかにまとめました。

エンディングノートと遺言は、役割が違う

終活の入り口としてよく紹介されるのがエンディングノートです。ただし、ここは誤解が起きやすいところ。ぼかさずに書きます。

エンディングノートに法的な効力はありません。 財産を誰にどう渡すかを書いても、そのとおりに実行される法的な保証はない、ということです。

一方、遺言は民法で方式が定められた法律上の書面です。法務省は、自筆で書いた遺言書を法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」を設けています(手数料が必要です)。方式や内容の判断は専門的ですので、遺言を検討される場合は弁護士・司法書士・行政書士、または公証役場にご相談ください。

エンディングノート 遺言
法的効力 ない ある(方式を満たした場合)
書き方の決まり 自由 民法で定められている
主な中身 情報・希望・気持ち 財産の分け方など
書き直し いつでも自由 定められた方式による
向いている場面 家族が困らないための情報共有 財産の承継を法的に定めたいとき

役割が違うだけで、どちらが上ということではありません。まずエンディングノートで情報と希望を形にし、財産の承継に踏み込む必要があれば専門家に相談して遺言へ。この順序が現実的だと、大将は思っています。

なお、医療とケアの希望については、厚生労働省が「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」という取り組みを紹介しています。「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組」と説明されており、一度決めて終わりではなく、繰り返し話し合うものという点が要になっています。

親にどう切り出すか

ここがいちばんの壁だと思います。。。いくつか、切り出し方の工夫を並べてみます。

「あなたのため」ではなく「私が困るから」で話す。 「終活しておいてね」は、どうしても「早く整理してほしい」と響きます。そうではなく「もし何かあったとき、私が保険も口座も分からなくて困る」と自分を主語にする。頼まれごとになります。

自分から先に書いてみせる。 ご家族自身がエンディングノートを書いてみて、「意外とおもしろかった」と渡す。親だけを対象にせず、家族全員の話にしてしまう形です。

全部を一度に求めない。 6つの領域を一気に埋めようとすると重くなります。「入院したときの連絡先だけ教えて」から始める。入り口が具体的なほど応じてもらいやすくなります。

きっかけの出来事に乗る。 知人の訃報、入院、免許返納。何かの節目に触れるほうが、突然切り出すよりずっと話が進みます。

そして、断られたら一度引く。 終活は一度の会話で終わる作業ではありませんし、押しても情報は出てきません。

どこから手をつけるか — 優先順位

全部を同時には進められません。大将なら、「本人にしか分からず、後から取り返しがつかない順」で考えます。そうすると、迷いにくい。

  1. 緊急連絡先と、かかりつけ医・持病・服薬 — 入院時にすぐ必要になります
  2. お金のありか(残高ではなく所在) — 銀行名、保険会社名、年金の種類。金額を聞く必要はありません
  3. スマホやパソコンを開ける手立て — ここが分からないと、あとで手の打ちようがなくなります
  4. 医療とケアの希望 — 元気なうちにしか、落ち着いて話せません
  5. 葬儀・お墓の希望、知らせてほしい人
  6. 財産の分け方 — ここまで来たら専門家へ

1〜3は事実の共有なので、比較的切り出しやすい部分です。まずここから、と考えてよいと思います。

松山では、どうなっているか

松山市は、松山市エンディングノートを作成し、無料で配布しています。「人生を振り返り、ご自身の情報や希望を整理し、ご家族に思いを伝える」ためのもので、松山市と松山市社会福祉協議会が作成しました。

配布場所は、長寿福祉課(市役所別館3階)、介護保険課(同2階)、高齢者総合相談窓口(同1階)、各支所、松山市社会福祉協議会などです。松山市のホームページからPDFをダウンロードすることもできます。問い合わせは長寿福祉課(TEL 089-948-6842)。

さらに市は、終活出前講座を実施しています。市内で活動する終活に関心のある市民グループ・団体(10名以上〜20名程度)が対象で、平日9時から16時のあいだ、1時間程度。終活の基礎知識、エンディングノートの役割と活用方法、医療・介護・財産・葬儀等に関する基本的な備え、人生会議による意向の整理などを扱います。申込は申請書をFAX・メール・窓口持参のいずれかで。問い合わせは長寿福祉課(TEL 089-948-6408)。地域の集まりや高齢クラブで使いやすい形になっています。

判断能力が下がってきたときの備えについては、松山市権利擁護センター(松山市社会福祉協議会内・松山市若草町8-2 松山市総合福祉センター内、TEL 089-913-9046、月〜土 8:30〜17:15)が窓口です。松山市では、基幹型地域包括支援センター(長寿福祉課内)と同センターが一体で成年後見制度の中核機関を担っており、弁護士・司法書士・行政書士による相談も行われています。

身寄りがない場合の備えは、また別に考えることがあります。そちらは身寄りがないとき、頼れる制度で整理しました。介護保険の申請そのものの流れは、松山で介護保険を申請するには?窓口と流れをご覧ください。

まとめ

  • 終活は「死ぬ準備」ではなく、残される家族が迷わないための情報と希望の整理です
  • 領域は6つ。お金/住まい/医療とケアの希望/人間関係/デジタル/葬儀・お墓
  • エンディングノートに法的効力はありません。 財産の承継に踏み込むなら遺言を検討し、専門家へ
  • 切り出し方は「あなたのため」より「私が困るから」。全部を一度に求めない
  • 手をつける順は、緊急連絡先・お金のありか・スマホを開ける手立てから
  • 松山市はエンディングノートを配布し、終活出前講座も実施。権利擁護の窓口は松山市権利擁護センター

終活の話は暗くなりがちです。けれど実際に書き出してみると、多くは「どこに何があるか」という事務的な情報です。事務を先に片づけてしまえば、残る時間を気持ちの話に使える。ん〜、そこが大きいと大将は思っています。

そして住まいやケアの希望は、大将たちのような介護の現場ともつながる部分です。どこで、誰と、どんなふうに過ごしたいか。それが分かっていれば、いざ選ぶときの手がかりになります。

大将が大事にしているのは「快」の一文字です。こちらが「してあげる」のではなく、ご本人の側から「これが心地いい」と教えていただく。その手がかりになるのが、元気なうちに残してくださった言葉なんです。終活の整理は、その手がかりを未来へ置いていく作業でもある。大将はそう受け止めています♪

松山でグループホームデイサービス居宅介護支援を運営しています。まだ何も決まっていない段階のご相談で構いません。見学のご相談からお声がけください。

制度の内容・配布状況・連絡先は変わることがあります。ご利用の前に、必ず松山市の窓口や公式サイトで最新の情報をご確認ください。また、法律に関わる判断は必ず専門職にご相談ください。


出典: 松山市 松山市エンディングノートを配布しています / 松山市 終活出前講座のご案内 / 松山市 成年後見制度 / 松山市社会福祉協議会 権利擁護センター運営事業/中核機関整備事業 / 法務省 自筆証書遺言書保管制度 / 厚生労働省 「人生会議」してみませんか(いずれも2026年7月確認)

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

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