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身寄りがないとき頼れる制度と松山の相談先

「もし自分が入院することになったら、誰が手続きをするのだろう」。「近所のあの方、身内は遠くにしかおらんらしい。何かあったとき、どこへ相談すればいいのだろう」。

ご自身のこととして考えている方にも、誰かを気にかけている方にも、心配の中身は同じです。困りごとの正体は「身寄りがないこと」そのものではなく、手続きの相手方として誰かの名前が要る場面が、暮らしのあちこちにあるという一点だと大将は思っています。

先にお断りを。大将たちは介護の事業者で、法律の専門職ではありません。手続きそのものは市の窓口・社協・弁護士・司法書士・社会福祉士が担います。この記事はそこへたどり着くための地図です。制度が何を担い、何は担わないのかを切り分けて、松山市と松山市社協の窓口をご案内します。

「身寄りがない」と、具体的に何が困るのか

1. 入院・入居のとき — 緊急時の連絡先、費用の支払い、退院後の相談相手。いわゆる「身元保証人」を求められることがあります。

ここは、はっきりしています。厚生労働省老健局の通知(老高発0830第1号・老振発0830第2号、平成30年8月30日)は、介護保険施設に関する法令上、身元保証人等を求める規定はないとし、「入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」としています。そのうえで、身元保証人等がいないことのみを理由に入所を拒む・退所を求めるといった不適切な取扱いがないよう、指導・監督を求めています。

最初から諦める前提で考える必要はないということです。なお、この通知が対象にしているのは介護保険施設です。病院への入院の場合の取り扱いは、ここでは触れません。ただし、支払いや緊急連絡の実務を誰がどう回すかという課題は残る。そこを制度で埋めます。

2. お金の管理 — 年金の受け取り、公共料金の支払い、通帳や印鑑の保管。判断に不安が出ると、ここが最初に重くなります。

3. 判断能力が落ちたとき — 介護サービスの契約、預貯金の解約、不動産の処分。ご本人だけでは法律行為が行えなくなります

4. 亡くなった後 — 葬儀、家財の片づけ、届出、契約の解約。生前の制度では担えない領域です。

頼れる制度の全体像 — 何を担い、何は担わないか

ここがよく混ざります。次の4つは別物で、ひとつで全部が片づく仕組みはありません。

仕組み 主に担うこと 担わないこと 使えるタイミング 費用の考え方
日常生活自立支援事業 福祉サービス利用の手伝い、金銭管理、通帳の預かり 不動産の処分など大きな法律行為 契約の意味は理解できる段階 利用のつどの利用料
法定後見 後見人等による財産管理・契約の代理、身上の配慮 日常の家事や実際の介護、死後の事務 判断能力が不十分になった後 申立費用+報酬(家裁が決定し本人の財産から支払う)
任意後見 元気なうちに、任せる相手と内容を決めておく 契約しただけでは効力は生じない 判断能力が十分にあるうち 公正証書の作成費用+発効後の報酬
死後事務委任契約 亡くなった後の葬儀・納骨・届出・契約解約 生前の財産管理・介護の手配 判断能力が十分にあるうち 契約内容により個別に定める

日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)

判断に不安を感じ始めた段階の生活支援です。松山市社会福祉協議会では「福祉サービス利用援助事業」として、福祉サービスの情報提供や手続きの手伝い、年金の受領や公共料金の支払いといった金銭管理、通帳・実印などの預かりを行っています。

利用料は同協議会の案内で、1時間まで1,000円、超過分は30分ごとに500円加算(交通費のご負担が生じる場合あり)。生活保護受給の方は無料。ご本人と協議会との契約ですから、契約内容をご理解いただけることが前提です。後見まではまだだけれど、お金の管理が心細い。その時期に出番の多い仕組みです。

成年後見制度 — 便利なだけの制度ではありません

家庭裁判所が選んだ成年後見人等が財産管理や契約を行い、ご本人の権利を守る民法上の制度です。上の表のとおり法定後見任意後見に分かれ、法定後見はさらに後見・保佐・補助に分かれます。

心強い制度です。ただ、いいところだけ並べるのはフェアではない。裁判所の案内には、こう記されています。

  • 後見等が開始されると、申立てのきっかけになったこと(預貯金の解約、遺産分割など)が解決した後も、本人の能力が回復するか本人が亡くなるまで手続は続き、家族の意思や本人の希望でやめることはできません
  • 申立書に候補者として書いた方が必ず選任されるわけではありません。事案に応じて弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門職や複数の後見人が選ばれることがあります
  • 後見人等への報酬は家庭裁判所が金額を決定し、本人の財産から支払われます

始まれば原則として続き、費用も続く。だから大将は「早めに使っておけば安心ですよ」とは一律に申し上げません。必要な場面が来たときに、必要な形で使う。この見きわめこそ、窓口にご相談いただきたいところです。

身元保証サービスと死後事務委任

民間事業者の身元保証サービスや死後事務委任契約は、公的な制度ではなく民間の契約です。契約の範囲、預けたお金の管理方法、解約時の扱いは事業者ごとに違う。ご自身だけで判断せず、地域包括支援センターや権利擁護センターに一度ご相談を。亡くなった後の手続きは死後の手続きの記事でも整理しています。

元気なうちにできること、判断能力が落ちてからできること

判断能力が十分にあるうち 判断能力が不十分になった後
選べる仕組み 任意後見契約、死後事務委任契約、日常生活自立支援事業、遺言 法定後見(後見・保佐・補助)
誰が決めるか ご自身が相手と内容を決められる 家庭裁判所が後見人等を選ぶ
申立てができる人 本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長など

判断能力が落ちてからでは、選べる幅が狭まります。とはいえ、今すぐ契約をという話ではありません。まずは相談だけしておく。それだけでも後の景色は変わります。

松山では、どうなっているか

ここからが本題です。松山市には、公的な窓口がちゃんとあります(以下は各公式サイト掲載の情報)。

松山市で身寄りのない高齢者が相談できる三つの入口を示した図

松山市権利擁護センター(松山市社会福祉協議会内)

〒790-0808 松山市若草町8-2(松山市総合福祉センター内)、電話089-913-9046。制度の簡単な質問から申立ての方法、後見人になった後の困りごとまで、社会福祉士等が応じています。相談は無料です。

成年後見制度専門職相談会もあります。同協議会の案内では、弁護士が毎月第2木曜日、行政書士が第3木曜日、司法書士が第4木曜日(月により変更あり)、いずれも13時30分〜15時30分。電話で申し込み、社会福祉士等が内容を伺ったうえで予約する流れで、無料とされています。

中核機関

基幹型地域包括支援センター(長寿福祉課内)と松山市権利擁護センターが一体で中核機関を運営しており、市と社協がつながった窓口になっています。

市長申立て

身寄りがない、身内から虐待を受けている、身内の援助が期待できない等の理由で申立てをする人がいない場合、市長が家庭裁判所に成年後見制度の審判を申し立てることができます。窓口は、認知症高齢者は長寿福祉課(089-948-6949)、知的・精神障がいのある方は障がい福祉課(089-948-6849)。頼める身内がおらんから制度が使えない、ということには、なりません。

成年後見制度利用支援事業

報酬の負担も支援の対象です。松山市の同事業では、資力が十分でなく報酬の支払いが困難な方に、家裁の報酬付与審判で決まった報酬額を月額30,000円を上限に助成(後見人等が配偶者・直系血族・兄弟姉妹の場合を除く)。申請窓口は、認知症高齢者は長寿福祉課 基幹型地域包括支援センター(089-948-6784)、知的・精神障がいのある方は障がい福祉課 サービス担当(089-948-6719)です。

まず、どこへ

迷ったら、お住まいの地域の地域包括支援センターが入口です。松山市には13か所のセンターとサブセンター2か所があり、担当地域は市の公式サイトで確認できます。介護保険の申請とあわせてなら、松山市の介護保険申請の記事もご覧ください。

※窓口の受付時間や相談会の日程は変更されることがあります。お出かけ前に各窓口へご確認ください。

まとめ — 「制度を選ぶ」より先に、「相談する」

要点だけ、もう一度。

  • 介護保険施設について、身元保証人がいないことのみを理由に入所を拒むことは不適切とされています(厚生労働省通知)
  • 日常生活自立支援事業=日々のお金 / 成年後見=判断能力低下後の法律行為 / 死後事務委任=亡くなった後。役割は分かれています
  • 成年後見制度は始めると原則として続き、費用も継続。負担も含めて理解したうえで選ぶものです
  • 松山市には権利擁護センター・基幹型地域包括支援センター・市長申立ての仕組みがあり、相談は無料です

手続きの前に、暮らしがあります。どこでどう一日を過ごすかは、ご本人が決めていいこと。大将たちがグループホームやデイサービスでお預かりしているのは、その「日々」のほうです。終活全体は終活のはじめ方の記事でまとめています。

大将が掲げているのは「快」の一文字。快は、こちらが「してあげる」側からは生まれません。心地よかったかどうかを決めるのは、いつもその方ご本人です。だから大将たちは、させていただく側に立つ。身寄りがあるかないかで、その姿勢が変わることはありません。

住まいや通いの場を考えてみたくなったら、見学のご相談からお声がけください。まだ何も決まっていない段階で結構です♪


参考にした情報(いずれも公式サイト・公的機関の公表情報)

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

見学のご相談 →

お電話 089-993-5737