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成年後見制度とは?家族が知る基本と松山の窓口

入院費を払おうと親の通帳からお金を下ろしにいったら、窓口で止められた。施設の入所契約に、本人の署名が要ると言われた。実家を売って介護の費用に充てたいけれど、名義は親のまま。。。

介護をしておられるご家族が、ある日ふっと立ち止まるのは、こういう場面です。介護そのものではなく、お金と契約でつまずく場面。

そこで出てくるのが成年後見制度です。名前は聞いたことがあっても、何ができて何ができんのか、家族が後見人になれるのか、いくらかかるのか。そのあたりは、なかなか表に出てきません。しかも大将が今いちばん気にしているのは、この制度、令和8年6月に法律が変わったということです(施行はこれからですが)。

今日は、松山でご家族を支えておられる方に、知っておいてほしい基本を整理します。

成年後見制度は、何をする制度か

松山市の説明では、成年後見制度とは「判断能力が十分でない方について、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等が、身上監護や財産の管理、福祉サービス等の契約を行い、本人の権利を守り生活を支援するための民法上定められた制度」です。

難しい書き方ですが、入口は2つだけです。

  • 法定後見 … 判断能力がすでに低下してから使う。誰が支援するかは家庭裁判所が決める
  • 任意後見 … 判断能力があるうちに、本人が自分で相手を選んで契約しておく

法定後見には、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型があります。

類型 本人の判断能力 支援する人
後見 常に欠けている 成年後見人
保佐 著しく不十分 保佐人
補助 不十分 補助人

(出典: 松山市「成年後見制度」。2026年9月時点)

申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長(身寄りがない方などの場合)などです。申立先は本人の住所地の家庭裁判所で、松山市にお住まいなら松山家庭裁判所になります。

費用は、裁判所の案内(2026年9月時点)によると申立手数料が収入印紙800円分、登記手数料が収入印紙2,600円分、ほかに郵便切手(額は裁判所ごとに異なります)。本人の精神の状況について鑑定をしなければならない場合は、その費用を申立人が負担することがあります。後見人等に報酬が決まった場合は、その支払いも続きます。

家族が後見人になれるとは限りません

ここは、先に知っておいていただきたいところです。

申立てをする人と、実際に後見人に選ばれる人は別。誰を選ぶかを決めるのは家庭裁判所です。「申し立てたのはこっちなのに」。。。ここでつまずくと、しんどい。だから先にお伝えしておきます。

最高裁判所事務総局家庭局の「成年後見関係事件の概況」(令和7年1月〜12月)によると、成年後見人等と本人との関係は次のとおりでした。

誰が選ばれたか 割合・件数
配偶者・親・子・兄弟姉妹などの親族 約16.4%(7,014件)
親族以外 約83.6%(35,718件)
うち司法書士 11,966件
うち弁護士 8,903件
うち社会福祉士 7,280件
うち市民後見人 390件

(出典: 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 ―令和7年1月〜12月―」)

同じ資料では、申立人は本人が最も多く約24.8%、次いで市区町村長が約23.7%、本人の子が約18.5%でした。

では、何のために申し立てられているか。主な動機は、預貯金等の管理・解約が93.4%(39,871件)で最も多く、次いで身上保護が74.2%、介護保険契約が45.7%、不動産の処分が36.3%でした(1件で複数の動機が計上されます)。

冒頭に挙げた「通帳が動かせない」「契約ができない」「実家が売れない」。これ、統計の上でも、この制度が使われている理由の上位に並んでいます。困っているのは、うちだけではないということでもあります。

令和8年に法律が変わりました(施行はこれから)

ここからは、大将がいちばんお伝えしたかった話です。

民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)が令和8年6月17日に成立し、6月24日に公布されました。成年後見制度の見直しにあたる部分の施行日は「公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、具体的な日はまだ決まっていません。つまり、今日の時点ではまだ現行の制度が動いています。

成年後見制度の現行と改正後の比較図

法務省民事局の資料によると、主な見直しは次のような内容です。

  • 後見・保佐の制度を廃止し、補助の制度に一元化する。本人に必要な事項について、家庭裁判所が個別に代理権や同意権を与えるかたちになります
  • 判断能力を欠く常況にあると認定されるときは、法定の重要な財産行為の取消しができる特定補助という仕組みを選ぶことができます
  • 利用の必要がなくなったときに、制度の利用を終了できるようになります。現行では、判断能力が回復しない限り利用をやめられません
  • 選任のときに家庭裁判所が考える要素の冒頭に本人の意見が置かれ、支援する人が本人の意向を把握することも義務として明確化されます
  • 不正がなくても、本人の利益のために特に必要があるときは交代(解任)ができるようになります
  • 本人が亡くなったあとの火葬・埋葬の契約や、未払いの施設利用料の支払いなど、死後の事務の権限も広がります

今すでに後見・保佐を利用している方については、経過措置が置かれています。法務省の資料では「基本的には現行法の内容で利用継続可能」とされ、新しい制度に移りたい場合は、改正後の補助の申立てをすることになります。

ただし、しつこいようですがこれらはすべて施行前の内容です。いつから始まるかは、これから政令で定められます。実際に申立てを考える段階になったら、そのときの最新の取扱いを家庭裁判所や専門職にご確認ください。

松山では、どうなっているか

松山市には、成年後見制度の相談を受ける中核機関として松山市権利擁護センターがあります。運営は松山市社会福祉協議会(地域福祉部 権利擁護支援課)で、場所は松山市若草町8-2の松山市総合福祉センター内、電話は089-913-9046です。

まず社会福祉士が相談内容をうかがい、法律の専門家に相談したほうがよいと判断されたときに予約を入れる流れです。専門職相談会は、弁護士が毎月第2木曜日、行政書士が第3木曜日、司法書士が第4木曜日(月により変更あり)。時間は13時30分から15時30分です。

身寄りがない場合や、身内からの虐待があるような場合には、市長が家庭裁判所に申立てをする「市長申立て」という仕組みもあります。相談窓口は、認知症高齢者の場合は長寿福祉課(089-948-6949)、知的障がい・精神障がいの方の場合は障がい福祉課(089-948-6849)です。

費用の心配についても、松山市には成年後見制度利用支援事業があります。資力が十分でなく、後見人等への報酬の支払いが困難な方に対して、家庭裁判所が決めた報酬額を助成する制度で、助成の上限は月額30,000円です。申請の期限は、報酬付与の審判が行われた日の翌日から起算して60日以内。窓口は長寿福祉課基幹型地域包括支援センター(089-948-6784)です。ただし、後見人等が本人の配偶者・直系血族・兄弟姉妹である場合は対象から除かれます。

目的別に並べると、こうなります。

こんなとき 相談先 連絡先
制度を使うべきか迷っている 松山市権利擁護センター(中核機関) 089-913-9046
弁護士・司法書士・行政書士に聞きたい 同センターの専門職相談会(要予約) 089-913-9046
身寄りがなく、申立てをする人がいない 長寿福祉課(市長申立ての相談) 089-948-6949
報酬の支払いが難しい 長寿福祉課基幹型地域包括支援センター 089-948-6784
どこに相談していいか分からない 地域包括支援センター 基幹型 089-948-6784

(出典: 松山市・松山市社会福祉協議会の各ページ。2026年9月時点)

判断能力の低下がまだ軽く、日々のお金の出し入れや書類の管理を手伝ってほしいという段階であれば、成年後見制度とは別に日常生活自立支援事業という選択肢もあります。この2つの違いは身寄りがないとき頼れる制度と松山の相談先に整理しています。

大将は、こう考えています

制度の話から、少しだけ離れます。

大将が昔からブログで書いてきた持論に、こういうのがあります。「やらない」のか、「やれない」のか。やらない=自己決定。やれない=要援助。なんでもかんでも手を出すのは援助ではないし、「いらん」の一言で全部引き下がるのも援助ではない。どこに線を引くか、いつも考えとります。

今回の見直しが向かっている方向は、ここに近いと感じています。判断能力の程度で使える制度が一律に決まるのではなく、必要な行為について、必要な期間だけ支える。そして本人の意見を、先に聞く。

法律が変わろうが変わるまいが、大将が現場で見ていたいのは、そこです。

まとめ

持ち帰っていただきたいのは、3つです。

  1. 家族が申し立てても、家族が後見人になるとは限りません。令和7年の統計では、選ばれたうち親族は約16.4%でした
  2. 制度は変わります。ただし施行はこれからです。後見・保佐は補助に一元化され、必要がなくなれば終了できるようになります
  3. 迷った段階で相談できます。松山市権利擁護センター(089-913-9046)、または地域包括支援センターへ

判断能力の低下に気づいた最初の段階については認知症かもと思ったら|松山の相談窓口を、お金や書類の整理を家族としてどう手伝うかについては親の終活、家族はどこから手伝えばいい?をご覧ください。

決めることばかりで、しんどい話です。ただ、相談が早いほど選べる道は残ります。「まだそこまでではないと思うのですが」という前置きで、まったく構わんのです。

大将が掲げている「快」という一文字は、こちらが与えるものではなく、受け取った方の反応から生まれるもの。してあげているのではなく、させていただいている。お金や契約の話でも、そこは同じだと思っています。本人が何を望んでおられるかを先に聞く。その順番を守ることが、大将の約束です♪

松山近郊でグループホーム・デイサービス・居宅介護をお探しでしたら、見学のご相談をどうぞ。

この記事の出典

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

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