不安

高齢者の熱中症、家族が気づける5つのサイン

夏になると、離れて暮らす親御さんのことが急に心配になる。そんなご不安をうかがうことがあります。

電話では「大丈夫、涼しいよ」。でも訪ねてみたら、暑い部屋でエアコンが止まっていた。。。そんなお話も耳にします。

熱中症は、外にいるときだけに起こるものではありません。むしろ高齢の方の場合、ふだん過ごしている自宅の中で起きることが多い。国の統計がそう示しています。

この記事では、なりやすい理由、気づけるサイン、室温と水分の考え方、救急車を呼ぶ判断の目安を、消防庁・厚生労働省・松山市の公表情報にもとづいて整理します。松山で使える窓口も、あわせて。

なお、以下は一般的な予防の考え方です。個別の症状の判断や治療については、必ずかかりつけ医や医療機関にご相談ください。

なぜ、高齢の方は熱中症になりやすいのか

厚生労働省は、熱中症患者のおよそ半数が65歳以上の高齢者であるとし、その背景として「暑さや水分不足に対する感覚機能や、からだの調整機能が低下している」ことを挙げています。

松山市も、注意喚起のページで「高齢者は、若い人に比べて暑さを感じにくく、喉の渇きを感じにくいため、脱水状態になりやすい」と説明しています。ご本人が「暑い」「のどが渇いた」と感じたときには、からだの中ではすでに水分が足りていないことがある、ということです。

ここが大事だと、大将は思うんです。「暑くない?」に「大丈夫」。嘘でも強がりでもない、本当のお返事です。ただ、からだの状態を表しているとは限らない。自己申告だけを頼りにすると、気づくのが遅れることがある

搬送されている人の内訳を見ると

消防庁がまとめた令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況では、全国の搬送人員は100,510人でした。内訳は次のとおりです。

区分 人数 割合
65歳以上の高齢者 57,433人 57.1%
18歳以上65歳未満の成人 34,096人 33.9%
発生場所が「住居」 38,292人 38.1%
発生場所が「道路」 19,773人 19.7%
初診時の程度が中等症 34,399人 34.2%
初診時の程度が重症 2,217人 2.2%

出典: 消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」。数値は全国の集計です。

半数以上が高齢の方。発生場所の最多は「住居」です。畑仕事や散歩の最中だけでなく、居間や寝室といった、いつもの場所で起きている。ここは知っておいて損はないと思います。

家族が気づける5つのサイン

厚生労働省は、熱中症の症状の例として、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛やこむら返り、生あくびなどを挙げています。これを、ご家族が「気づける形」に置き換えてみます。

気づきどころ 見え方・聞こえ方の例
① 受け答えの様子 話がかみ合わない、反応が鈍い、いつもより口数が少ない
② 顔色と汗のかき方 顔が赤い、または逆に汗をかいていない。皮膚が乾いている
③ 食事と水分の減り ペットボトルやお茶が前回訪問時からほとんど減っていない
④ 足元のふらつき 立ち上がるときにふらつく、こむら返りを訴える
⑤ 部屋の温度と機器 室温が高いのにエアコンが止まっている、扇風機だけで過ごしている

⑤だけは、ご本人ではなく環境を見る項目です。訪問すれば真っ先に確認できますし、電話でも「今、エアコンついとる?」の一言で確かめられます。

ただし、どれも「これがあれば熱中症だ」と決められるものではありません。あくまで、医療機関に相談する・様子を見に行くきっかけとして受け止めてください。迷う段階でこそ早めに相談する。大将はそれでいいと思っています。

室温・水分・エアコンの考え方

エアコンは「もったいない」と競わせない

「電気代がもったいない」「からだに悪い」「昔はなくても平気だった」。よくうかがうお気持ちです。ここを正面から否定しても、行動はなかなか変わりません。人の価値観は、押しても動かんのです。

厚生労働省と松山市がそろって呼びかけているのは、エアコン等で室温をこまめに調節すること、そして遮光カーテンやすだれを利用すること。カーテンやすだれは電気を使わずに室温の上がり方を抑えられますから、「もったいない」とぶつかりにくい。エアコンと併せてご提案いただくと、すっと入っていく場面があります。

環境省の熱中症警戒アラートは、暑さ指数(WBGT)の日最高予測値が33に達すると見込まれる地域に発表されます。アラートの日には「高齢者、こども等は熱中症になりやすいので特に注意し、身近な方も見守り・声かけをしましょう」と呼びかけられています。アラートの日は電話を一本入れる。そう決めておくのは、無理なく続けられる見守りの形だと思います。

水分は「渇く前に」

厚生労働省は「のどの渇きを感じなくても、こまめに水分を補給しましょう」と案内しています。渇きを感じにくいのですから、感覚を頼りにすると後手になる。だったら時間や場面で区切って飲む習慣にしておく。起床時、食事のたび、入浴の前後、就寝前。生活の節目に置いていく形です。

後手を追いかけるより、先に手を打つ。大将が昔から言い続けていることです。水分も同じだと思うんです。

ただし、持病や服薬によっては、水分・塩分の摂り方に個別の注意が必要な方もいらっしゃいます。水分量や塩分の目安は、必ずかかりつけ医にご確認ください。 ここは一律の正解を書けません。

救急を呼ぶかどうか、迷ったときの目安

厚生労働省は、熱中症が疑われるときの応急処置として、次の3つを挙げています。

  1. エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移す
  2. 衣服をゆるめ、からだを冷やす(特に首の周り、脇の下、足の付け根)
  3. 経口補水液などで水分を補給する

そのうえで、「自力で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を呼びましょう」と明記しています。ここは迷いようがない、はっきりした線です。

状況 目安となる対応
自力で水が飲めない/意識がはっきりしない すぐに救急車(119番)
涼しい場所で休ませても回復しない 医療機関を受診
呼ぶべきか判断に迷う 愛媛救急電話相談 #7119 に相談

松山市は、「救急車を呼ぶか迷うときは、愛媛救急電話相談『#7119』をご利用ください」と案内しています。「呼ぶほどではないかもしれん」。そうためらう時間そのものが、リスクになります。迷った時点で相談する。遠慮はいりません。

松山では、どうなっているか

松山市はクーリングシェルター(指定暑熱避難施設)を指定しています。環境省の熱中症特別警戒アラート(広域的に過去に例のない危険な暑さとなり、重大な健康被害のおそれがある場合に発表されるもの)が出たときに開放され、誰でも涼をとれる施設です。

指定されているのは市有施設20か所、県有施設9か所、そして数多くの民間施設。市内の商業施設も入っており、老人福祉センターなど、高齢の方が普段から足を運びやすい施設も含まれています。指定施設は入れ替わりますので、最新の一覧は市のホームページでご確認ください。

注意点は、飲食物の提供はありません。飲み物はご自身でお持ちください。開放される施設・日時は市のホームページで公開されます。夏に入る前に、近くにどの施設があるかを一度確認しておく。これも先手です。当日に探し歩くのでは、暑い中をよけいに動くことになりますから。

市の相談窓口は、松山市 健康づくり推進課(TEL 089-911-1810)。暮らしの不安ごと全般は、お住まいの地区の地域包括支援センターにご相談いただけます。調べ方や役割は、松山で介護保険を申請するには?窓口と流れでご紹介しています。

在宅の場合と、通い・入居の場合

在宅で暮らしている場合

離れて暮らすご家族にとって、いちばん難しいのは「見えない時間」です。夏のあいだだけでも、こんな形が考えられます。

  • 熱中症警戒アラートが出た日は電話を入れる、と決めておく
  • 訪問時に、室温計を目につく場所に置いておく(数字が見えると、ご本人も判断しやすくなります)
  • デイサービスや訪問介護など、人が定期的に入る日を増やすことをケアマネジャーに相談する

3つ目は、ご家族だけで抱えないための現実的な方法です。ケアマネジャー(介護支援専門員=ケアプランを作り、サービス利用の調整をする専門職)は、夏のあいだだけ利用回数を見直したい、という相談もできます。「わざわざ相談するほどでは」。そう思われることでこそ、遠慮なくお伝えください。それが専門職の仕事です。

通い・入居の場合

ご検討中であれば、見学のときに夏の過ごし方をたずねてみてください。室温をどう管理しているか。水分をどのように勧めているか。体調の変化に気づいたとき、ご家族へどう連絡するか。パンフレットには載っていないけれど、暮らしの質に直結するところです。どんどん聞いてください。

見学で見ていただきたい点は、グループホーム見学で見てほしい5つの点にまとめています。

まとめ

  • 高齢の方は暑さやのどの渇きを感じにくいため、自己申告だけでは気づくのが遅れることがあります(松山市・厚生労働省)
  • 搬送された方の57.1%が65歳以上、発生場所の最多は住居(38.1%)(消防庁・令和7年5月〜9月)
  • 気づきどころは、受け答え・顔色と汗・水分の減り・ふらつき、そして部屋の室温とエアコンの状態
  • 自力で水が飲めない、意識がはっきりしない場合はすぐに119番。 迷うときは愛媛救急電話相談 #7119
  • 松山市のクーリングシェルターは市有20か所・県有9か所ほか民間施設多数。夏に入る前に近くの施設を確認

熱中症は、ご本人の気合いでどうにかなるものではありません。感じにくくなっているのですから、まわりが環境を整える。それが大きな助けになると思っています。

大将がずっと言い続けているのは、「」の一文字です。快かどうかを決めるのは、こちらではなくご本人。だからこそ、ご本人が言葉にできないときは、こちらが先に気づいて動く。「してあげる」のではなく「させていただく」。夏の室温も、一杯のお茶も、その延長にあります。

そして、ご家族だけで背負うものでもありません。ケアマネジャー、地域包括支援センター、通い先や入居先の職員。夏を一緒に見守る手は、いくつもありますけん♪

大将は松山で、グループホームデイサービス居宅介護支援を運営しています。「この人がどうすれば心地よく過ごせるか」を、一緒に考えさせていただきます。まだ何も決めていない段階で構いません。見学のご相談からお声がけください。

制度の内容・施設の指定状況・連絡先は変わることがあります。ご利用の前に、必ず松山市の窓口や公式サイトで最新の情報をご確認ください。


出典: 松山市 熱中症にご注意ください / 松山市 熱中症対策(クーリングシェルター) / 厚生労働省 熱中症を防ぎましょう / 厚生労働省 熱中症の症状と応急処置 / 環境省 熱中症警戒アラート / 環境省 熱中症特別警戒情報とは / 消防庁 令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況(いずれも2026年7月確認)

まずは、見学にお越しください。

どの施設が合うのか、費用はどれくらいか。決めていない段階のご相談で結構です。お電話でもフォームでもお受けします。

見学のご相談 →

お電話 089-993-5737