施設の食費・部屋代はどう決まる?軽減制度の話
毎月の請求書を封筒から出すとき、ちょっと身構える。。。お金の話は、いちばん切実で、いちばん聞きにくい。だから後回しになりやすい。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入所すると、介護サービス費の自己負担に加えて、食費と**居住費(部屋代)**がかかります。ここは介護保険の給付の対象外で、原則として全額が自己負担です。
その負担を軽くする仕組みが、**補足給付(正式には「特定入所者介護サービス費」)**です。ただし、黙っていて適用されるものではありません。
この記事では、施設に入るとお金の何がかかるのか、どういう方が軽減の対象になるのか、松山市ではどこで手続きをすればよいのかを、公的な情報にもとづいて整理します。あわせて、令和8年8月1日から負担限度額が見直されること、認定証が毎年7月31日で切れることにも触れます。
先に、大事なお断りを。以下の金額はいずれも目安です。実際の負担額は施設の体制やお部屋のタイプ、ご本人の状況によって変わりますので、必ず施設と市の窓口でご確認ください。ここを曖昧にしたまま数字だけ並べるのは、大将の性に合いません。
補足給付とは — 申請しないと受けられません
補足給付は、所得や預貯金などが一定の基準に当てはまる方について、施設の食費と居住費に「これ以上は自己負担しなくてよい」という上限(負担限度額)を設ける制度です。上限を超えた分は介護保険から施設に支払われます。ただし、上限が設けられるのは食費と居住費だけです。介護サービス費の自己負担や、日常生活費(理美容代・おむつ代など)は別にかかります。施設に払う総額がこの上限までで収まる、という意味ではありませんので、ここは取り違えのないように。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。この制度は、自動的には適用されません。 市に申請をして「介護保険負担限度額認定証」の交付を受け、その認定証を施設に提示して、初めて適用されます。条件に当てはまっているのに申請をしていないために軽減を受けられていない——そういう行き違いは、実際に起こり得ます。制度は、知っている人のところにしか届かない。もったいない話です。
対象になるかどうかは、所得(利用者負担段階)と預貯金等の資産の両方で判定されます。世帯全員が市町村民税非課税であることなどが前提になり、そのうえで年金収入等の額によって第1段階から第3段階②までに区分されます。資産の基準額は段階によって異なりますので、ご自身がどの段階にあたるかを含めて、市の窓口でご確認ください。
また、補足給付は**介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院)と短期入所(ショートステイ)**が対象です。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の家賃・食費はこの制度の対象外となります。施設の種類によって費用の考え方が変わる点は、グループホーム見学のチェックリストもあわせてご覧ください。
令和8年8月1日から、何が変わるのか
ここからは数字の話です。厚生労働省が令和8年5月29日に発出した事務連絡(介護保険最新情報 Vol.1506)により、令和8年8月1日から次の見直しが行われます。増える方がいる、という話です。そこから目をそらさずに書きます。
(1) 段階の判定に使う年金収入の基準が上がります
利用者負担段階を判定する際に使う公的年金等収入額の基準が、80.9万円から82.65万円に引き上げられます。令和7年度の年金額改定を踏まえたもので、基準そのものが上がるため、同じ収入でも段階の当てはまり方が変わる方がいます。
(2) 食費の負担限度額(1日あたり)
| 利用者負担段階 | 令和8年7月まで | 令和8年8月から |
|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 300円(変更なし) |
| 第2段階 | 390円 | 390円(変更なし) |
| 第3段階① | 650円 | 680円 |
| 第3段階② | 1,360円 | 1,420円 |
第1段階・第2段階の方の食費は据え置きです。変更の影響を受けるのは、主に第3段階の方ということになります。ご自身がどの段階なのか。まずはそこを認定証で見てみてください。
(3) 居住費の負担限度額(第3段階②・1日あたり)
| お部屋のタイプ | 令和8年7月まで | 令和8年8月から |
|---|---|---|
| 多床室 / 従来型個室 / ユニット型個室的多床室 | 430円 | 530円 |
| ユニット型個室(特別養護老人ホーム等) | 880円 | 980円 |
| その他の個室 | 1,370円 | 1,470円 |
いずれも1日あたり100円の引き上げです。1か月30日で計算すると、居住費だけで月3,000円ほどの差になります。第3段階②の方は食費も1日60円上がりますから、あわせるとさらに差が出ます。1日100円と聞くと小さく感じますが、毎月・毎年のことです。年金で暮らしを組み立てているご家庭にとって、決して小さくない額だと大将は思っています。
くどいようですが、もう一度。ここに書いた金額は目安です。当てはめ方はお部屋のタイプと段階の組み合わせで変わりますので、ご自身の場合にいくらになるかは、入所先の施設にご確認いただくのがいちばん確実です。「うちの場合は、8月からいくらになりますか」。この一言で足ります。
松山では、どこでどう手続きをするか
松山市の説明によれば、負担限度額認定証の有効期間は申請日の属する月の初日から、毎年7月31日までです。つまり、いつ申請しても期限は原則として7月31日。引き続き軽減を受けるには、毎年あらためて更新の申請が必要になります。
今年もその7月31日が近づいています。事実として、それだけお伝えしておきます。
申請先・連絡先
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当課 | 松山市 介護保険課 介護給付担当 |
| 郵送先 | 〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 別館2階 |
| 電話 | 089-948-6885 / 089-948-6924 |
| 申請方法 | 窓口または郵送 |
必要な書類の例
申請書のほかに、収入や資産の状況を確認できる書類が必要です。松山市が例として挙げているのは、源泉徴収票、年金の支払通知書、預金通帳、有価証券、施設との契約書などの写しです。ご本人だけでなく配偶者の分も必要になる場合があります。
大将がおすすめするのは、窓口へ行く前に一本お電話することです。「うちの場合、何を持っていけばいいですか」。それだけで、書類を抱えて往復する二度手間がなくなります。段取りは、動く前の仕込みで決まる。現場でも同じですよな。
受付期間について
更新の受付は、例年おおむね6月中旬ごろから7月末までの期間に行われています(令和7年度の実績)。ただし、**令和8年度の日程については松山市の公式な案内で確認ができていません。**今年の受付期間は、必ず介護保険課(089-948-6885・6924)にお問い合わせください。
施設に入所中の方は、施設が代行してくれることもあります
すでに施設に入所されている場合、更新の申請書類を施設が取りまとめて提出してくださることが少なくありません。「更新の書類は施設から届くのか、自分で用意するのか」を、まず入所先の相談員やケアマネジャー(ケアプランを作り、サービス全体を調整する専門職)に一度確認してみてください。ご家族が動くべきか、待っていてよいのか。それがはっきりするだけで、ずいぶん気が楽になるはずです。
聞きにくいことではありません。専門職はそのためにいます。遠慮はいらんです。
介護保険の申請全般の窓口や流れについては、松山で介護保険を申請するには?窓口と流れにまとめています。
8月までに、ご家族が確認しておきたいこと
慌てて動く必要はありません。あれもこれもと抱えると、かえって手が止まります。次の4点を、順番に確かめていけば十分です。
| 確認すること | 確認先 |
|---|---|
| 今の認定証の有効期限(7月31日で切れているか) | お手元の認定証・入所先の施設 |
| 更新の申請を、施設が代行するのか自分で行うのか | 入所先の相談員・ケアマネジャー |
| 令和8年度の受付期間と必要書類 | 松山市 介護保険課(089-948-6885・6924) |
| 8月からの1か月あたりの負担がどう変わるか | 入所先の施設 |
「うちは対象になるのだろうか」と迷われる場合も、まずは介護保険課か、お住まいの地区の地域包括支援センター(高齢者の暮らしを総合的に支える身近な相談窓口)にお電話ください。対象かどうかの見当をつけるところから相談に応じてもらえます。迷ったまま止まっているのが、いちばんもったいない。。。
まとめ
- 施設の食費・居住費の負担を軽くする補足給付は、申請しなければ受けられません
- 令和8年8月1日から、段階の判定基準(80.9万円→82.65万円)と、食費・居住費の負担限度額が見直されます
- 影響を受けるのは主に第3段階の方です。第1・第2段階の食費は据え置きです
- 認定証は毎年7月31日で満了します。継続には更新の申請が必要です
- 松山市の窓口は介護保険課 介護給付担当(089-948-6885・6924)。入所中なら施設が代行することもあります
- 記載の金額は目安です。実際の負担は施設やお部屋のタイプで変わりますので、施設と市の窓口でご確認ください
費用の話は、ご家族にとっていちばん切実で、いちばん聞きにくいことです。大将は、そこを曖昧にしたままご案内することだけはしたくない。数字を濁して契約していただいても、後からモヤモヤが残る。それは「快」ではないと思うんです。
大将がずっと大事にしてきた「快」は、こちらが「してあげている」ものではなく、お客様とご家族の反応の中から生まれるもの。「させていただいている」の姿勢からしか出てこないものだと感じています。だとすれば、お金のことこそ、先に、正直にお伝えするのが筋よな、と。聞かれてから答えるのではなく、聞かれる前にお出しする。そうありたいと思っています♪
施設をお探しの段階でも構いません。月々どのくらいかかるのか、どんな軽減の仕組みが使えるのか。遠慮なくお尋ねください。
見学のご相談は、こちらのフォームからお気軽にどうぞ。実際に見て、聞いて、納得してからお決めいただく。それがいちばんだと思っています。
出典
- 厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.1506 令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等について」(令和8年5月29日発出) / 厚生労働省 介護保険最新情報掲載ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00010.html
- 松山市「施設入所者等の利用者負担軽減(介護保険負担限度額認定申請)」
※本記事は令和8年7月時点の情報にもとづいています。制度や運用は変わることがありますので、手続きの際は必ず松山市 介護保険課および入所先の施設でご確認ください。